2020年10月14日水曜日

*** もっと詳しく知りたい方に ***

第3章 文 その3 基本構造他



第4節 英語の基本構造


   
         文に対する態度など + 基本文 + 状況補語           
   

基本文はすべての英文に含まれているものですが、基本文だけで伝えたいことすべてが表せるということではありません。そこで、基本文に、基本文に含まれない内容を付け足し、伝えたいことのすべてを表してみましょう。

基本文に、基本文に含まれない内容を付け足したものが、英語の基本構造となります。

 英語の基本構造は、「基本文の前に文に対する態度などを置き、基本文の後に状況補語(じょうきょうほご)を置く」これだけです

基本的にこれですべての事柄を表します。

 

第1項 基本文に付け足す要素

その1 文に対する態度

 「文に対する態度」というのは、伝えようとすることに対して、前もって注釈を伝えることで、日本語でも「僕より早くお母さんが知っていたんだよ」という文に「不思議なことに」という注釈を付け加え、「不思議なことにね、僕より早くお母さんが知っていたんだよ」という文を作るのと同じことです。

 

その2 状況補語

 基本文に付け足す要素を状況補語と言います。状況補語というのは、基本文では伝えきれないすべての事柄を表すものです。

状況補語には、時、場所、様態、量と強め、手段と道具、同伴、原因・理由、目的、材料、行為者、テーマ、価格、衣服、反対、状況、比較などいろいろなものがあります。 

基本文に付け足す状況補語になる要素は、副詞(ふくし)、前置詞句(ぜんちしく)、副詞節(ふくしせつ)という副詞類(ふくしるい)と呼ばれるものです。

基本文+副詞                   I walk slowly.(私はゆっくりと歩く)
基本文+前置詞句             I live in Tokyo.(私は東京に住んでいる)
基本文+副詞節                I like chocolate because it is sweet.(甘いので私はチョコレートが好き)

 

第5節 動詞の変化と表現

  英語は、動詞の形を変えることにより次のことを表します。

時制       いつのことを言っているか
法          文に対する気分


第1項 時制(じせい)

 時制とは、「いつの事を言っているのか」を表すやり方のことです。

日本語では、「本がある」という「ル」で終わる文に対して、「本があった」という「タ」で終わる文で過去を表します。

  これまで出てきた動詞はすべて動詞の通常の状態を表す現在形(げんざいけい)と呼ばれるものでしたが、英語では、動詞の現在形を過去形(かこけい)に変えることにより過去を表します。このブログでは現在形のことを通常形(つうじょうけい)、過去形のことを緊張形(きんちょうけい)と呼ぶことにします。

  緊張形は、動詞の通常形に変化を与えたもので、通常形とは違う何かがあることを示したものです。

  英語の動詞には、緊張形を語尾にedを付けて表す規則動詞と、語ごとにさまざまな形をとる不規則動詞があります。

  不規則動詞であるbe動詞の場合は次のように変化します。

 

 通常形                                          緊張形
 am, is                                          was
 are                                              were

 I am happy.
(私は幸せだ)            I was happy.(私は幸せだった)
 He is rich.
(彼はお金持ちだ)         He was rich.(彼はお金持ちだった)
 You are young.
(あなたは若い)    You were young.(あなたは若かった)

 規則動詞であるwalkの場合は次のように変化します。

   通常形                                          緊張形
   walk                                            walked

   I walk.(私は歩く)                      I walked.(私は歩いた)

 動詞の緊張形は辞書に載っています。日本の辞書には巻末に不規則動詞表としてまとめて載っているものもあります。

  不規則動詞はさまざまな形がありますので覚えるのに苦労するように思うかもしれませんが、基本的な動詞がほとんどで、数としてはそれほど多くありませんので、英語の学習を続ける過程で身につけることができるはずです。

  現在と過去とは、動詞の通常形と緊張形を使って表せますが、未来のことはどうやって表したらいいのでしょうか。

 

第2項 未来のことなど起こっていないことの表し方

 未来のことを表すには、いろいろなやり方がありますが、一番多く使われるのが、willという助動詞を使った

I will leave Japan tomorrow.(明日、私は日本を離れます)
のような表現です。

  

その1 法助動詞(ほうじょどうし)

 I will leave japan tomorrow.のwillのように、後に続く動詞を包み込むような働きをする動詞を助動詞といいますが、法助動詞は、頭の中に浮かんだ判断などを表す助動詞です。

文の中で文を作るため活用されている動詞は、助動詞で、後に来る包み込まれた動詞は活用されていない不定形(原形)になります。

  willのような法助動詞は、主語がheなどの三人称単数であっても一般の動詞が付くsやesが付きません。これは、活用されていないのではなく、一人称である話し手の判断を表すため一人称に活用されていると考えてください。

  法助動詞はwillの他にもいろいろありますので、ここでご紹介いたします。

  いずれの文も、法助動詞の後に続く動詞は、実際に起こったことではなく頭の中に浮かんだことであることに注意してください。

 will

willは、「推測(だろう)」、「意志(つもり)」、「傾向(ものだ)」の3つの使い方があります。
He will come.
(彼は来るだろう)
I will climb Mt. Fuji.
(私は富士山に登るつもりだ)
Earthquakes will happen.
(地震は起こるものだ)

 

must

mustは、「高い圧力(しなければならない、違いない)」を感じる判断です。
He must go back home.
(彼は家へ戻らなければならない)
It must be true.
(それは真実に違いない)

 

may

mayは、「許可(してもいい)や可能性(かもしれない)」を表す判断です。
You may come in.
(あなたは入ってよろしい)
He may come.
(彼は来るかもしれない)

 

can

canは、「できる」という潜在性を表す判断です。
I can speak English.
(私は英語が話せる)

 

should

shouldは、「ほかに道は無い」という判断の意味を持つ法助動詞shallの緊張形です。

法助動詞の緊張形は、「過去」を表す場合もありますが、多くの場合はっきりしない判断を表します。

その意味で、
You should see a doctor.
(あなたは医者に会うほかに道は無い→医者に診てもらわなくちゃ)
は、mustの「しなければならない」の弱まった「しなくちゃ」くらいの感覚の判断です。

 

第3項 不定詞

  文を作る動詞として使われた動詞は、通常形・緊張形として「活用」(その時その場所でその動作主が行った個々の動作を表す)された形であるのに対し、活用されない形で使われる動詞は「不定詞」(原形)と呼ばれ、個々の動作を表しません。

  そういう意味で、不定詞は、通常形と同じ形ですが、意味合いが少し違います。

 

その1 to不定詞

  不定詞の前に「到達」を意味するtoを付けたもので、不定詞の多くはこの形で使われ、文を作るときの個々の動作の動詞から外れた動詞として、主語を持つ文を作る意味としてではなく、動詞だけの意味を表します。

名詞のような使われ方
I want to go.(私は行きたい) I wantだけでは何か(目的語)が足りません。そこに、to goが来て、目的語になっています。
To study English is interesting.(英語の勉強は面白い) 文の先頭には主語が来ます。そこにTo study Englishという語が来て、主語となっています。

形容詞のような使われ方
John gave me a book to read.(ジョンは私に読む本をくれた) a bookの後にto readが来てa bookを後ろから説明しています。

副詞のような使われ方
I went to Morioka to eat “wanko-soba”.
(私はわんこそばを食べるために盛岡に行った) I went to Moriokaの後に、to eat “wanko-soba”という目的を表す状況補語が付いています。

 

第4項 分詞(ぶんし)



 分詞とは、動詞の動作中・動作後の局面(様子)を表したものです。

 動作中                 現在分詞              ing
 動作後                 過去分詞              規則動詞 ed       不規則動詞 さまざま

 現在分詞の形は動詞の名詞形として使われ、それは動名詞と呼ばれます。

 

その1 進行形と完了形

 分詞を使うことにより、その時行われている様子を表現したり(進行形)、その時までに動作が終わっていることを表したり(完了形)することができます。

 進行形は、be動詞を使いbe動詞の後に動作中の様子を表す現在分詞を置くことにより表現します。

 完了形は、have動詞で動作後の状態を持つことにより表現できます。

現在形            I break the glass.(私はガラスを破る)
 現在進行形      I am breaking the glass.(私はガラスを破っている)
 現在完了形      I have broken the glass.(私はガラスを破ってしまった)

 

その2 未来の表現の補足説明

 時制のところで取り上げたように、未来のことを表すのに一番多く使われるのが、willという助動詞(じょどうし)を使った

I will leave Japan tomorrow.(私は明日、日本を離れるつもりです)
のような表現ですが、そのほかにも、進行形を使った
I am leaving Japan tomorrow.(私は明日、日本を離れる最中です)
のような表現、
進行形と不定詞を使った
I am going to leave Japan tomorrow.(私は明日、日本を離れるよう進んでいます)
のような表現や、あるいは
I leave Japan tomorrow.(私は明日、日本を離れる)
のような通常形そのままでも未来のことを表すことができます。

 

その3 能動態(のうどうたい)と受動態(じゅどうたい)

  John broke the glass.(ジョンはガラスを破った)のような他動詞文では、動作を行う人・物が主語として文頭に現れ、次に他動詞、さらにその後に他動詞の目的語が続きます。このような動作を行う人・物の立場から表現するものを能動態と言います。

  それに対して、このような他動詞文の目的語を主語として、目的語の立場から表現するものを受動態と言います。

  受動態はbe動詞による状態文で、be動詞の後に動作の終わった状態を表す過去分詞を置いて表現します。

The glass was broken by John.(ガラスはジョンによって破られた)

2020年10月13日火曜日

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第3章 文 その2 基本文

第2節 基本文
第3節 基本文以上のことを表すために必要となる品詞など
 第1項 文を作るために必要となる品詞
  
その1 副詞(ふくし)
  その2 句と節
  その3 前置詞(ぜんちし)
  その4 接続詞(せつぞくし)


第2節 基本文

 前回は動詞について説明しましたが、今回は名詞(主語)と動詞を使った必要最小限な文(これを基本文といいます)と必要最小限以上のことを表すやり方について説明します。

一体、英語の文とはどういうものなのでしょうか。 

   
 主語+自動詞  I walk.(私は歩く)
 主語+他動詞+目的語  I break the glass.(私はガラスを破る)
 主語+他動詞+間接目的語+直接目的語  I give him a book.(私は彼に本をあげる)
   


 
 皆さんは、これからいろいろな英文を、話したり聞いたり書いたり読んだりし、その中には複雑な英文も数多くあることになることと思いますが、その第一歩として、ここでは、英文として成り立つ必要最小限な文(基本文)について説明します。

どんなに複雑な文もこの基本文を必ず中に含んでいて、それを変形したり、またそれに何かを追加したりすることにより複雑な文になっているのです。

 

 英語の基本文は次の3つです。それぞれの文を作っている主語・動詞・目的語といった要素は、基本的に省略することはできませんし、順番も変えることはできません。

主語+自動詞                                          I walk.(私は歩く)
主語+他動詞+目的語                              I break the glass.(私はガラスを破る)
主語+他動詞+間接目的語+直接目的語      I give him a book.(私は彼に本をあげる)

 

 順番を変えることができない理由は、日本語などと違い、英語は語順によって語の役割を示す言語だからです。日本語と比べてみてみましょう。

 

英語は語順が決められている

 I like English. 主語+動詞+目的語

 

日本語は語順が変えられる

 私は英語が好きです。
 英語が私は好きです。
 好きです私は英語が。

 

日本語で「私は英語が好きです。」という文は、「英語が私は好きです。」と言ったり、「好きです私は英語が」と言ったりと語順を変えることができます。
これは、日本語が「は」や「が」といった助詞というものを持っていて、それを語の後ろに置くことにより語の役割を示すことができるからです。 

これに対し、語の役割を示す語を持たない英語では、語順でそれを表すため語順を変えることができないのです。
ですからこれから英語を学ぼうとする皆さんは、この基本文を徹底して頭に刻み込むことが大切なのです。


第3節 基本文以上のことを表すために必要となる品詞など

第1項 文を作るために必要となる品詞

 基本文というのは、文字通り「基本」しか表しません。しかし、言葉として伝えたいことは「基本」以外にも様々なことがあります。そうしたものは、基本文に追加することにより表現されます。 

 基本文に基本文だけでは伝えきれない内容を付け足すには、これまで紹介してこなかった品詞を知る必要がありますので、いろいろな英文を作る前にそれをご紹介いたします。

 

その1 副詞(ふくし) 

副詞は、主語、動詞、目的語といった文を作る時の基本要素(文に原則必須、語順も原則固定)にはならず、必要があれば文や語を修飾するために使われる語句のことです。 

 文を修飾する副詞は、基本文の後ろに来るのが原則ですが、基本要素のように語順が固定されるものではないため、基本文の前にくることもありますが、それはあくまでも例外です。 

例えば、I walk.という基本文に、walkの様子を表すためslowly(ゆっくりと)という語を付け加えると、I walk slowly.という文ができあがりますが、その時使われるslowlyという語が副詞です。

 

さらに、slowlyという語の前にvery(とても)という副詞を付けて、I walk very slowly.とするとslowlyの程度を表すことができます。

 

また、必要があればslowlyという副詞を基本文の前に持ってきて、Slowly, I walk.という文も間違いではありませんが、あくまでも「必要があれば」のお話です。

 

その2 句と節 

ここまでは、主にwaterといった名詞やslowlyといった副詞という、単語としてのお話しかしてきませんでしたが、句や節という複数の語が集まって一つの品詞のような働きをすることがあります。日本語でも同じ年のことを言う場合に、「おととし」という単語で言うときと「僕が三年生のとき」と言ったりするのがあるのと同じことです。 

句は、文の形になっていないもので、節は、内部に主語と動詞を含みそれ自体が一つの文のようになっているものです。 

句の例は次の前置詞のところで取り上げますが、節の具体的な例は、疑問詞を紹介した後、第7節で改めて取り上げます。

 

その3 前置詞(ぜんちし) 

前置詞は名詞や代名詞の前に置かれ、後ろの語に対する関係を表す語のことで、その多くが場所方向といった位置関係を表す小さな語です。 

前置詞は後ろに名詞や代名詞を伴い、前置詞句(ぜんちしく)を作ります。 

位置関係を表す小さな語というのは、意味の広がりが大きくいろいろな意味に使われることになりますが、それらは同じ一つの感覚からきていますので、皆さんは日本語としてとらえるのではなく感覚的に意味をとらえてください。 

前置詞のよく使われるものをこれからご紹介いたします。

 

at

atは「点」を表します。

I get up at 6.(私は6時に起きる)
I look at the desk.(私は机を見る)


 

on

onは「面や線への接触」を表します。

I put a pen on the desk. (私はペンを机に置く)
My house is on the Sumida River.(私の家は隅田川に面している)


 

in

inは「囲まれた空間や範囲の中にあること」を表します。

I live in Tokyo.(私は東京に住んでいる)
I swim in the morning.(私は朝泳ぐ)


 

by

byは「何々のそば」を表します

I am by the window.(私は窓のそばにいる)
He comes by bicycle. (彼は自転車で来る:自転車のそば→自転車で)


 

for

forは「ある地点までの途中」を表します。

He leaves for New York.(彼はニューヨークに向かう)
This is the chair for you.(これはあなたのための椅子です)
I feel for a pen.(私はペンを探る)
I walk for two days.(私は二日間歩く)

 

to

toは「到達」を表します。

I go to school.(私は学校に行く)
I listen to the radio.(私はラジオを聞く)


 

of

ofはもともと「分離」を表しますが、多くの場合「分離」から派生した、「関係があること」を表します。

He is the captain of the team.(彼はチームのキャプテンだ)
I give her a glass of water.(私は彼女に一杯の水を与える)

 


with

withは「(向かってきた)対象と一緒」ということを表します。

I walk with my father.(私は父親と歩く)
I drink water with the glass.(私はグラスで水を飲む)


 

over

overは「上を通過」ということを表します。

I walk over my dog.(私は犬をまたいで歩く)
She is over thirty.(彼女は30を超えている)


 

under

underは「何かの下」を表します。

I swim under the tree.(私は木の下で泳ぐ)
He is under four.(彼は4歳未満だ)


 

through

throughは「通り抜ける」ことを表します。

I run through the tunnel.(私はトンネルを駆け抜ける)
I see it through the glass.(私はガラスを通してそれを見る)


 

about

aboutは「何かのまわり」を表します。

I look about it.(私はそれの周りを見る)
It is about two inches.(それは約2インチだ)

 


after

afterは「後に続く」ことを表します。

She goes after him.(彼女は彼を追いかける)
She looks after her mother.(彼女は母親に似ている)


 

before

beforeは「前」を表します。

I come before lunch.(私は昼食前に来る)
Harajuku is before Shibuya.(原宿は渋谷の前)


 

from

fromは「起点」を表します。

I walk from Tokyo to Ginza.(私は東京から銀座まで歩く)
He comes from Hawaii.(彼はハワイから来る)


 

into.

intoは「何かの中へ」を表します。

He walks into the room.(彼は歩いて部屋に入る)
She runs into him.(彼女は走って彼に入る→彼にぶつかる)



 

 前置詞に使われる語は、動詞に動作の方向を付け加える語としても使われます。

 

自動詞文に対象などを付け足す

I listen to the radio.(私はラジオを聴く)
You look at her.
(あなたは彼女を見る)
He goes to school.
(彼は学校に行く)
She comes to my house.
(彼女は私の家に来る)
They get to the island.
(彼らは島に着く)

 

他動詞に動作の方向を付け加える

I put my bag on the desk.(私はバッグを机に置く)
I put on the shoes.(私は靴を履く:the shoesに焦点が当たっている)
I put the shoes on.(私は靴を履く:onに焦点が当たっている)

  

その4 接続詞(せつぞくし)

 接続詞は、語と語、文と文などを繋ぐものです。同じ要素を繋ぐ等位接続詞と文の中に他の文の要素を入れ込むために使う従位接続詞があります。従位接続詞は次項に出てくる「節」を導くものです。

 

等位接続詞

Taro and Jiro are brothers.(太郎と次郎は兄弟)
Hanako likes Taro but he likes Hanae.
(花子は太郎が好き、でも彼は花江が好き)

 

従位接続詞

I am happy because she loves me.(彼女が私を愛しているので私は幸せだ)


以上で文を構成する主な品詞の紹介が終わりましたので、次節ではそれらを使った英語文の基本構造について説明します。

 

2020年10月11日日曜日

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第3章 文 その1 動詞

第1節 動詞
 第1項 動詞の人称変化
  その1 存在を表すbe動詞の変化
  その2 保有を表すhave動詞の変化
  その3 動作を表すdo動詞の変化
 第2項 動詞を使った文
  その1 be動詞を使う表現
  その2 have動詞を使う表現
  その3 do動詞を使う表現
 第3項 自動詞と他動詞
  その1 動詞だけで意味が通じる自動詞
  その2 対象が必要な他動詞

 人・物+状態・性質の表現のところで紹介した文は完全なものではありませんでした。
では、完全な文はどうしたら作れるのでしょうか。

 

        
         何かについて言いたいとき 主語(何か)+ 動詞          
        

   英語で何かについて言いたいときには、その「何か」(主語)を最初に持ってきて、次に動詞(どうし)を置きます。これが英語文の基本中の基本です。

 日本語には、「桜は美しい」のように、動詞の無い形容詞文というものがありますが、英語には必ず文中に動詞が含まれているということが日本語とは違う大きな点の一つです。

 

第1節 動詞(どうし)

動詞とは、存在(何かがある)、保有(何かを持っている)、動作(何かを行う)を表す言葉で英語の中心になるものです。

 

第1項 動詞の人称変化

 人称とは、代名詞のところでも少し触れましたが、会話をする際の役割(立場)を表すためのものです。話をする当事者を一人称、話をする相手を二人称、それ以外を三人称と言います。人称変化とは、主語により動詞の形が変化することです。
こう書くとなんだか難しそうですが、見ればすぐわかりますので、動詞の変化を実際に見てみましょう。

 

その1 存在を表すbe動詞の変化

be動詞とは存在を表す動詞で、原形(げんけい:元の形)はbeですが、主語によりam, are, isという3つの変化があります。 

原形be

I am.(私は、いる)
We are.
(私たちは、いる)
You are.
(あなたは、いる)
He is.
(彼は、いる)
She is.
(彼女は、いる)
They is.
(彼らは、いる)
It is.
(それは、ある) 

 上の英文中の太線で示された部分は、英語の英文として成り立つ最小限の部分を表す基本文を示します。それはこの本の最後まで同じです。基本文については第2節で説明します。

 

その2 保有を表すhave動詞の変化

 have動詞とは保有を表す動詞で、原形や三人称単数以外はhaveですが、主語が三人称単数のときは、hasになります。 

原形have

三人称単数以外
I have xxxx.
(私はxxxxを持っている)
We have xxxx.
(私たちはxxxxを持っている)
You have xxxx.
(あなたはxxxxを持っている)
They have xxxx.
(彼らはxxxxを持っている)

三人称単数
He has xxxx.
(彼はxxxxを持っている)
She has xxxx.
(彼女はxxxxを持っている)
It has xxxx.
(それはxxxxを持っている)

 

その3 動作を表すdo動詞の変化  

ここでいうdo動詞とは、be動詞、have動詞以外のすべての動詞の代表を意味します。原形や三人称単数以外は動詞そのものの形ですが、三人称単数の時は語尾にsあるいはesを付けます。 

原形do

三人称単数以外
I do. (私はする)
We do. (私たちはする)
You do. (あなたはする)
They do. (彼らはする)

三人称単数
He does.
(彼はする)
She does.
(彼女はする)
It does.
(それはする)

 

第2項 動詞を使った文

その1 be動詞を使う表現

 それでは「そんざい」を表すbe動詞を使う文を見てみましょう。
人称変化のところで紹介したbe動詞の文は次のとおりです。 

I am.(私は、いる)
We are.
(私たちは、いる)
You are.
(あなたは、いる)
He is.
(彼は、いる)
She is.
(彼女は、いる)
They are.
(彼らは、いる)
It is.
(それは、ある) 

これらはこれで立派な文なのですが、多くの場合これだけでは「それがどうした」というものなので、もう少し意味のある文にしてみましょう。
それには、これらの文の後に「後ろから説明」する状態・性質を表現する語句を付け足します。これが日本語では「桜は美しい」のような形容詞だけでできている形容詞文に当たるものとなります。


状態・性質の表現を付け加える

これらの文に状態・性質の表現を付け加えると次のような文ができあがります。 

I am old.(私は存在し、年をとっている→私は、年をとっている)
We are the champions.
(私たちは存在し、チャンピオン→私たちは、チャンピオンだ)
You are young.
(あなたは存在し、若い→あなたは、若い)
He is smart.
(彼は存在し、頭がいい→彼は、頭がいい)
She is beautiful.
(彼女は存在し、美しい→彼女は、美しい)
They are rich.
(彼らは存在し、お金持ち→彼らは、お金持ちだ)
It is a pen.
(それは存在し、ペン→それは、ペンだ)

 

その2 have動詞を使う表現

 次に保有を表すhave動詞を使う文を見てみましょう。
人称変化のところで紹介したhave動詞の文は次のとおりです。 

三人称単数以外
I have xxxx.
(私はxxxxを持っている)
We have xxxx.
(私たちはxxxxを持っている)
You have xxxx.
(あなたはxxxxを持っている)
They have xxxx.
(彼らはxxxxを持っている)

三人称単数
He has xxxx.
(彼はxxxxを持っている)
She has xxxx.
(彼女はxxxxを持っている)
It has xxxx.
(それはxxxxを持っている) 

 be動詞の文とは違い、これらはxxxxの部分が無いときちんとした文にはなりません。
それは、be動詞の「存在する」という文とは違い、have動詞の保有するという文には当然保有するもの(xxxx)が必要だからです。このように動詞そのものが必要とするものを動詞の目的語といいます。

 

動詞の後に保有するもの(目的語)を置く

have動詞の後に保有するものを置くと次のような文ができあがります 。 

三人称単数以外
I have a pen.
(私は、ペンを持っている)
We have a dog.
(私たちは、犬を持っている)
You have a cat.
(私たちは、猫を持っている)
They have a car.
(彼らは、車を持っている)

三人称単数
He has power.
(彼は、力を持っている)
She has a piano.
(彼女は、ピアノを持っている)
It has four legs.
(それは、4本の足を持っている)

 

 注意してほしいことは、be動詞の文のときに「後ろから説明」する、状態・性質を表現する語句を付け足したのと違い、have動詞の後に置いた目的語は、動詞自身がそれを必要としているものなのです。存在を表すbe動詞は、それだけで十分意味が成り立ちますが、保有を表すhave動詞には保有するものを示さないと完全には意味が成り立たないのです。

 

その3 do動詞を使う表現

do動詞とは、be動詞have動詞以外のすべての動詞のことで、動作や感情を表します。 

do動詞には、be動詞のように動詞だけで意味が通じるものと、have動詞のように動詞の力が及ぶ対象が必要なものとがあります。 

do動詞を使う表現は無数にあり、ここでとても紹介しきれるものではありませんので、以降例文の中でそのつどご紹介しますが、第4章では基本的な動詞をまとめてご紹介していますので参考にしてください。

 

第3項 自動詞と他動詞

 動詞には、be動詞のように対象のいらない自動詞とhave動詞のように対象が必要な他動詞とがあります。


その1 動詞だけで意味が通じる自動詞(じどうし)

 自動詞は動詞の力が及ぶ対象物がありません。

 


 人称変化のところで紹介したdo動詞の文は次のとおりです。

三人称単数以外
I do. (私はする)
We do. (私たちはする)
You do. (あなたはする)
They do. (彼らはする)

三人称単数
He does.
(彼はする)
She does.
(彼女はする)
It does.
(それはする)

 

 これらの文のdoをwalk(歩く)という動詞に替えると次のような文ができあがります。

三人称単数以外
I walk.(私は歩く)
We walk.(私たちは歩く)
You walk.(あなたは歩く)
They walk.(彼らは歩く)

三人称単数
He walks.
(彼は歩く)
She walks.
(彼女は歩く)
It walks.
(それは歩く)

 

その2 対象が必要な他動詞(たどうし)

 他動詞は作用をおよぼす対象が必要で、動詞の力が対象(目的語)に移ります。

 


 

 人称変化のところで紹介したdo動詞の文は次のとおりです。

三人称単数以外
I do. (私はする)
We do. (私たちはする)
You do. (あなたはする)
They do. (彼らはする)

三人称単数
He does.
(彼はする)
She does.
(彼女はする)
It does.
(それはする)

  これらの文のdoをbreak(破る)という動詞に替え、動詞の後にthe glass(ガラス)という目的語を加えると次のような文ができあがります。

 三人称単数以外
I break the glass.(私はガラスを破る)
We break the glass.(私たちはガラスを破る)
You break the glass.(あなたはガラスを破る)
They break the glass.(彼らはガラスを破る)

三人称単数
He breaks the glass.
(彼はガラスを破る)
She breaks the glass.
(彼女はガラスを破る)
It breaks the glass.
(それはガラスを破る)

  紹介した動詞はほんの一握りで、動詞のすべてはとても紹介しきれるものではありませんので、動詞の説明はここまでとして、次節では名詞(主語)と動詞を使った必要最小限な文について説明します。

2020年10月10日土曜日

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第2章 状態・性質の表現

第1節 形容詞
 第1項 名詞の意味を変更する使い方
 第2項 人・もの+状態・性質の表現
 第3項 英語の修飾の原則2 後ろから説明

第1節 形容詞(けいようし)

  形容詞とは、「若い」や「かわいい」のように、人・物の状態・性質を表す語で、次のようなものがあります。


第1項 名詞の意味を変更する使い方

 名詞を前から修飾(しゅうしょく)すると名詞の範囲を限定し、名詞の意味を変更することができます。

 motherだけだとお母さん全般を表しますが、形容詞を前に付けて、young motherとするとお母さんの範囲を限定し、若いお母さんを表します。

 flowerだけだと花全般を表しますが、形容詞を前に付けて、beautiful flowerとすると花の範囲を限定し、美しい花を表します。

 babyだけだと赤ちゃん全般を表しますが、形容詞を前に付けてcute babyとすると赤ちゃんの範囲を限定し、かわいい赤ちゃんを表します。

 

第2項 人・もの+状態・性質の表現 

何かについての状態・性質を言いたいときは、最初にその何かを持ってきて状態・性質の表現を付け足します。このようなものは、語ではなく文となるため、最初の文字は文の先頭を示すため大文字とし、文の終わりにはピリオドを付けます。 

My mother young.(私のお母さん若い)
Grace beautiful.
(グレースきれい)
Hirose Suzu cute.
(広瀬すず可愛い)
Ice cold.
(氷冷たい)
Ramen delicious.
(ラーメンおいしい)
He rich.
(彼お金持ち)
This flower red.
(この花赤い)
He cool.
(彼カッコいい)
They silent.
(彼ら静か)
She happy.
(彼女幸せ)
It good.
(それいい)
etc.
 

まだちゃんとした表現ではありませんが、十分意味は通じます。

 

第3項 英語の修飾の原則2 後ろから説明

 これらの形容詞の使い方は、後ろから名詞を説明していますが、第1項の前から修飾した時とは違って、名詞そのものを変更してはいません。
このことは、第1項とともに、「前から限定、後ろから説明」として英語のすべての場合に当てはまる原則です。

 

2020年10月9日金曜日

*** もっと詳しく知りたい方に ***

第1章 人・物の表現

 第1節 名詞
 第2節 代名詞
 第3節 限定詞

第1節 名詞



これは健爺の机の上ですが、この中にもいろいろなものがあります。

机の真ん中にはパソコンがあり、その左には電話機、本、付箋があります。右側には、パソコンのマウスやホッチキス、糊、眼鏡、電卓、ハサミ、いろいろなボールペン、シャープペン、消しゴム、USBメモリーとこんな小さな机の上でもいろいろなものがあります。世の中を見渡せば、気が遠くなるくらい多くのものがあり、その全部に名前が付けられています。

 こんなにいっぱいあるものをすぐに全部覚えることなど誰だってできません。皆さんだって身の回りにあったものの中にも、名前を知らないものがあったと思いますが、それでも「これ」とか「何々するもの」とか言うことにより、その都度呼び名を教えてもらいながら過ごしてきたはずです。

 それは英語でもおなじことですから、身近にある物だけとりあえず覚えてから、あとは興味を持ったものを、その都度覚えればいいのです。

周りの人に教えてもらうのと同じようなことは、テレビの英語番組で体験ができます。

 またウェブサイトにも絵に描かれたものの名前を英語で教えてくれるものもあります。どちらも絵や写真と一緒に文字も教えてくれますが、今は文字を覚えようとする必要はありません。文字を覚えるのは英語がある程度分かってからでも遅くありません。

物の名前を知るには、健爺の若い頃は和英辞典で調べるしかありませんでしたが、今では機械に日本語で物の名前を伝え、機械にその英語名を教えてもらうという方法があります。

明石家さんまさんのテレビコマーシャルでお馴染みのポケトークのような翻訳機やスマートスピーカーそしてスマホのアプリなら声で教わることができます。また、今のところ声で伝えることはできないようなので手で入力する必要がありますが、パソコンの翻訳サイトでも同じようなことができます。

辞典で調べるのと違って、「音」で教えてくれるのが何といっても最大の魅力です。

たとえば日本語の「机」を英語で何というのか知りたいときには、健爺がいつも使っているgoogle翻訳のサイトで「机」を入力すればdeskと表示され発音もわかりますので簡単です。

このようにスマホやパソコンのアプリは、とても便利で英語を覚えるにも良いものですが、昔ながらの和英辞典にもスマホやパソコンのアプリには無い良さがあります。それは、細かいことまできちんとわかることです。

健爺が使っている和英辞典で、「机」を引くと、アプリではdeskであったものがa deskとでています。和英辞典では、日本語の「机」という一つの語が、aとdeskという二つの語にわかれています。このそれぞれの語のことを単語(たんご)といいます。

なぜ日本語では一つの語でいうものを、英語ではaとdeskという二つの語でいうのでしょうか。

英語の人・物のうち数えられる(決まった形のある)ものについては、一つのときは初めに一つを意味するaを示してからa deskと表します。つまり、「(一つの)机」と言わなくてはならないのです。一つではなく複数の時は、多くの場合sを付けてdesksと複数であることを表しますが、中にはsをつける以外に形の変わる名詞もあります。この複数を表す形を複数形(ふくすうけい)と言います。

複数形でないものは、人・物の基本形なので、スマホやパソコンのアプリでは基本形ででているのです。

そして「机」など数えられるものについては、この複数形が基本形よりも一般的な形で、aを付けるものはそれが一つしかない特殊な場合です。つまり、数えられるものについては複数形にして「(数えられるものである)机」と言っているのです。

「机」の一言ですましている私たちから見れば面倒くさいことですが、英語というのはそういう物の種類をはっきり示す言葉なのですからしかたがありません。

また、水や氷などの数えられない(決まった形のない)ものはそのままwater, iceと表します。

皆さんは冷蔵庫にある四角い氷の塊を思い浮かべて、「数えられる」と思ったかもしれませんが、数えられるものの例に挙げた机はバラバラに壊したら机ではありませんが、氷の塊は細かく砕いてもやはり氷です。これは机には決まった形があるのに氷にはそれが無いからです。

英語の名詞は単数・複数の区別など日本語と比べると面倒くさいですが、さらにもっと面倒なことがあります。これから先は、大人でもむずかしいので、今わからなくても当然ですので、そのつもりで読んでください。英語を知るうちにだんだんわかってきます。


「もの」の認識の仕方

それは、実際に目で見たり手でさわったりする「実体」と、それがどのようなものかという「考え」とをはっきり分けているということです。

基本形は、その「考え(概念)」を表しているのです。

 つまり、その人・ものがどういうものであるかの「考え」があり、それをもとに実際に目で見たり手でさわったりする「実体」があるということです。

第2節 代名詞

英語には日本語にはない代名詞というものがあり、頭の中にすでに入っている物を表します。 

 代名詞は、日本語で言うところの、私、私たち、あなた(あなたたち)、彼、彼女、彼ら、それ、それら、にあたるもので、それぞれ主格(しゅかく)、所有格(しょゆうかく)、目的格(もくてきかく)という三つの形(これを格変化といいます)を持っています。
英語では、私とあなた以外のものを最初に口にするときは、「this PC(このパソコン)」のように、名詞を使って取り上げ、その後口にするときは、すでに頭の中に入っている物なので、itと代名詞を使って表します。

  私とあなたは、自分と自分が話をする相手で、最初から頭の中に入っているものですから、名詞を使ってきちんと伝える必要はないのですが、それ以外のものはきちんと伝える必要があるので名詞を使い、その後は代名詞を使って簡単に表すのです。

英語では、日本語で言う「私は」、「私が」を表すとき、「私の」を表すとき、「私を」を表すとき、日本語のように「は」、「が」、「の」、「を」を付けるのではなく、語の形が変わります。

 主格とは、一人称を例に取ると、日本語で言う「私は」、「私が」を表すとき、所有格とは、「私の」を表すとき、目的格とは、「私を」を表すときに使います。

  代名詞の仲間には、「~のもの」を意味し所有格+名詞と同じ働きをする所有代名詞(しょゆうだいめいし)というものもあります。

次にあげる例の、目的格の後の4番目に示したものがそれです。
代名詞所有格+名詞ではなく、名詞+名詞のときは、名詞に’sを付けHirose’s deskのように使います。

  代名詞の格変化は次のとおりです。

 一人称 会話をするときの本人
  主 格  所有格   目的格  所有代名詞
  (は、が) (の) (を) (のもの)
 単 数  I my me mine
 複 数  we our us ours

 二人称 会話をするときの相手
  主 格  所有格   目的格  所有代名詞
  (は、が) (の) (を) (のもの)
単数・複数 you your you yours

 三人称 会話をするときの当事者以外
  主 格  所有格   目的格  所有代名詞
  (は、が) (の) (を) (のもの)
男性、単数 he his him his
女性、単数 she her her hers
単 数 it its it -
複 数 they their them theirs

 代名詞でなく名前を直接使う場合
  主 格  所有格   目的格  所有代名詞
  (は、が) (の) (を) (のもの)
 名 前  Hirose Hirose's Hirose Hirose's

 最後に代名詞のitについて、大切なことに触れておきます。

 一般に「ものを表す」とされるitには、「もの」以外に頭の中に浮かんだことを示す意味があります。

さきほど、私、あなた以外の人ものを最初に取り上げるときは、名詞を使いそのあと取り上げるときは代名詞を使う、といいましたが、頭の中に浮かんでいることもそのとき頭の中に入っているものなので、説明なしにitを使って表せるのです。

詳しくは「文」の説明をしてから取り上げますから、今は頭の片隅に入れておいていただくだけで結構です。


第3節 限定詞

  名詞のところで説明したように、英語名詞の基本形は、人・物の「考え」を表します。

「考え」というのは、piece(ピース:平和)のように実際に手で触ることのできないもののことです。手で触れられないのと同じようにpieceそのものは、目で見ることもできません。もし皆さんがのどかな田園風景を思い浮かべて、pieceを目に見ることができると考えたかもしれませんが、それは、のどかな田園風景から皆さんが感じていることであって、pieceそれ自体を見ているわけではありません。

 

 ですが、「考え」でなく実際に目で見たり手でさわったりできる「実体」ということを言いたいときがあります。日本語ではどちらも区別なく使いますが、英語はそれを区別することばなのです。

 

 つまり、「氷」を例にとると、日本語では「考え」を表すときも「実体」を表すときも「氷」ですが、英語では「考え」を表すときは、ice、「実体」を表すときは、the iceと表します。
ice
の前にあるtheのような語を限定詞といいます。

 

 ここで「考え(概念)」と「もの(実体)」というものがどういうものか、今一度整理しておきます。

 

限定詞が表す概念と実体




 「考え」とは、そのものがどういうものであるかを表すものです。
例えば「本」という言葉を聞いたとき頭に思い浮かべるもの、あるいは「本」というものがどういうものかと聞かれたときの説明、それが「考え」で、唐突ですが「考え」そのものには境界というものがありません。
とても分かりにくいのですが、一個のリンゴのように私たちが普段見たり触ったりしている「もの」にはそのリンゴが空間の中に占める境界というものを持っていて、私たちはその境界を見たり触れたりしてリンゴを認識します。私たちが頭の中にものを思い浮かべるときは実際に世の中にあるものを思い浮かべますので、思い浮かべたものには境界がありますが、「考え」そのものは、境界というものを持たないので実際に見たり触ったりすることはできません。

 

 一方「実体」というのは、実際に世の中にあるもののことです。
「実体」は、私たちが暮らしている実際の空間の中に一定の境界というものを持っているので、私たちはそれを見たり触ったりできます。

 

限定詞は、境界というものを持たない無限に広がる「考え」に何らかの意味で限定をかけることにより境界を付けるものです。
空間的に境界を付けると実体を表し、時間的に境界を付けると時や期間を表し、考えに境界を付けると考えの中の一つの種類を表すことができます。

 

限定詞には次のようなものがあります。

 

冠詞
a, an
(一つの、anは続く語が母音の場合)、the(それと決まってしまうもの)


指示詞
this
(この)、that(その)、these(これらの)、those(それらの)


代名詞所有格
my
(私の)、your(あなたの)、his(彼の)、her(彼女の)、their(彼らの)、its(それの)


限定を表す形容詞
some
(或る)、any(一つでも)

 

限定詞の後に名詞を示すことで「考え」を「実体」に変えることができます。
例えば、theという限定詞にice(考え)を続けるとthe ice(もの)を表すことができます。
同じように、myという限定詞にmother(考え)を続けるとmy mother(もの・人)を表すことができます。

 

ここで冠詞のaについて補足しておきます。

数えられる名詞は、sやesを付けるなどして複数であることを表しますが、複数形の名詞は、複数形になった時点で、何らかの意味で限定された複数の「実体」、「時間」あるいは「種類」という意味を中に含む「考え」になり、aという限定詞はそれらの内の一つという「考え」を表します。

ですからそれらの考えを実体にしたいときは、theという冠詞を使い、複数の実体を表すときはthe applesのように表し、applesのどれにも当てはまる一つのものというan appleを実体にしたいときはaに替えてtheという冠詞を使いthe appleというように表します。

 

英語の名詞には、日本語を使う私たち日本人が持っていない「考え」と「実体」という大きな区別があります。その感覚を身に着けるには、限定詞なしの名詞が来た時には「考えなんだな」と意識し、限定詞の後に名詞が来た時には「実体なんだな」と意識することを続けることです。面倒くさいと思われると思いますが、そうすれば1年もしないうちに自然に身に着けることができます。逆にこれをやらないと「絶対に」と言っていいほど身につけることが難しいのです。

 

第1項 英語の修飾の原則1 前から限定

 英語では語を修飾するとき、限定詞のように前から修飾すると後ろの語の範囲を限定し、語の意味を変更します。